陸王のアルバム

平成19年4月


庭のアイビーの吊りバスケットに水をやろうとすると、なにやら置物が置いてある。

それはなんだろうと顔を近づけると



なんか不機嫌そうな小さな蛙であった。

なんで、こんなところに蛙が居るんだろう。

緑の葉っぱに置けば緑色になるんだろうけれど・・・

春が来たんだなあ





さて、わが陸王も7年ぶりに春を迎えたのだ。

車検が2年取れるように法律が変わってから一度車検をとったきり

あとはガレージで寝っぱなしだった。


たまたま、車検整備に出しっぱなしで半年も過ぎたころ、

映画「続・三丁目の夕日」のエキストラの話が舞い込んだ

あわてて調べたらダイナモが不調だった。ダイナモを

しっかりしたものと交換。レギュレーターもずいぶんくたびれていたので交換した。

そうだよなあ、昭和の55年くらいに僕のところに来て、昭和57年にレストア完了。

そのころは、まだパーツも結構揃ったから徹底してやってもらった。

さすがに、交換時期になっても不思議は無かったね。













1958年型(昭和33年)東京タワーのたったころにこいつは新車だった。

型名は陸王RT2型 サイドバルブ750t 



    



排気管はオリジナルでは無い。

アメリカの軍用ハーレー WLA750用のレプリカをイギリスのマフラー屋から輸入したのだ。

妙な格好だなあ、と思ったけれど軍用は実にそっけない量産スタイルだった。

でも、さすがご先祖が同じなのでぴったりエキパイの曲がりに合った。





   



左側にあるレバーで三段ギア変速となる。もちろん、クラッチは足踏み。

左側のレバーは前ブレーキだ。




   


僕の陸王はフロントフォークの作動がいい。曲がっていたりして、ストロークの悪いものが

多いけれど、幸いに曲がりも無かった。メッキは再生した時にホンダの下請け工場で

してもらったので、未だに黄ばみも無く錆びても来ない。












実は、この陸王は今で言うカスタムマシンだったのだ。

僕の前のオーナーが、ハンドチェンジしか使えなかったのか、

陸王はハンドチェンジでなくてはならないと思っていたのか、

当時の純正の部品でハンドチェンジで3段変速に戻してしまったのだ。

(※RT2型は足4速、ハンドクラッチ)



今となっては、理由も分からないけれど、それはタンクをレバーの取り付けを

移植するために、旧型のタンクを切り張りして、非常に丁寧な溶接をしている、まったく気がつかないほど。


当然、ペダルやリンク、チエンカバー、ミッションなども旧型のRQのものだ。

なんで、こんなお金と手間をかけてハンドチェンジに戻したのかは謎のままだ。



でも、僕は便利で耐久性のあるRTの自動進角、ドライサンプ、パワーアップした

エンジンでハンドチエンジで走りたいと言う、わがままなオーナーの気持ちがよく分かる。

この時代、陸王のオーナーは大変なお金持ちばかり。そのくらいの道楽は可能だったかも

知れない。今の大型ベンツを買うに等しいバイクだったからだ。




   



1 2 3速と手前に引いていく。右はハンドルダンパーノブ。rikuoのマーク入り。



    


片ハブの鉄のドラムブレーキ。 これで効くのかというと、まるでダメ。

昔の信号の無い時代に作った乗り物は、止まるのが苦手なのだ。





このスプリングはタンデムした時に、バディーシートをしっかりと固定して

乗り心地を良くするためのもの。 普段は手前のフックに引っ掛けて寝かせておくのだ。





始動はちょっとチョークを引いて一、二回のキック
でエンジンはかかる。

まだ昔は部品があったので、バルブ、ピストン、シリンダーのスリーブ、ヘッドなどを交換した。

リムは昔のものを再メッキして使っている。スポークは新品に張りなおして、足回りのベアリング

も交換してある。配線は引きなおしてあるが、なぜかコイルは純正のまま。もの凄い骨とう品!

(※といっても、交換したのは30年近く、前のはなしだからね)



これでも、夜もしっかり走れる頼れる乗り物なのだ。

鉄のシリンダーが煩いけれど、二輪の蒸気機関車みたいで実に楽しい。

愉快な速度は60キロ前後。最高速度は120キロまで出した事がある。

前方に車が見えたら、すぐに減速しなくてはないのは言うまでも無い。




キックペダルは新品に交換していたけれど、ゴムは腐ってしまった。それで、また

当時ものの城南部品で売っていたrikuoネーム入りのキックペダルと交換した。

ハンドルグリップのゴムも崩れそう。 ゴム類は持たないね。

タイヤも二度目のものだけれど、磨り減らない(走らないから)うちに

ひび割れしてしまう。最近はタイヤも再生産品があるようです。

陸王よりも、そろそろこっちの体の方がレストア時期を向えそうだ。






いつまで持っていられるのか分からない。売ってくれと言うバイク屋もいるし、

財布も窮状を訴えている。年をとったなあと思うよ。

年をとったなあ、と言えば、一緒にツーリングにいった吉沢さん(狛江の)がもう72歳だって

あの時は、まだ40半ばで若かったよ。杉山さんも33歳くらい、森さんも30歳手前、僕はまだ27歳。

一緒にまた走ろう何ていいながら、あっという間に27年も経過してしまった。




路上で「あ!リクオウだ!」と寄って来る人もすっかりいなくなった。

昨日、おばさんが寄って来て、「これなんてバイク?」と聞いてきた。

「陸王ですよ」と答えると、

「あたしがバイク乗り始めたころにはもう、rikuoは無かったねえ!」と言う。


若いころにハーレーに乗っていたのだと言う。60歳過ぎといったところか。

これに関心を示すのは、あとはジョッキーシフトのチョッパーの兄ちゃんくらいかな。















なんで、こんなに長く持っているのだろうかと考える事がある。

やはり、乗って楽しいからなのだけれど、何人もの人に助けられてここまで動くように

していると言う事がおおきいのだと思う。 クラシックバイクはお店では買えない物。

一度、理解の無い人に手渡せば、そこで動態保存の輪はちぎれる。

今回の車検整備もハーレー屋さんでは、ハーレーの部品を無理やり移植すると言う

現代手法でしか修理できなかっただろう。

千利休の愛用の茶碗なんか受け継いだら大変だなあ! と思うのでありました。






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